友の会イベント

「おしらせ」165号(2023年6月1日発行)掲載の世田谷文学館友の会の重要事項などをお知らせします。

世田谷文学館・世田谷文学館友の会共催講演

覚えておきたい究極の短歌 歌人 穂村 弘 氏

昨年、「覚えておきたい究極の短歌・俳句100選」というNHKのテレビ番組に参加しました。短歌1300年、俳句350年の歴史の中から名作中の名作を選んで紹介する、という企画です。国文学研究資料館館長の渡部泰明先生、歌人の栗木京子さんとともに私は短歌50首の選定と解説を担当しました。

1000年以上の歴史の中で作られた無数の歌から50首というのは、あまりにも強引だけれど、だからこそ、見えてくるものがあるように思います。どうしてこの歌人が選ばれたのか。多くの代表歌の中から何故この一首なのか。三人の選者の意見はすんなりまとまったのか。番組で選ばれた俳句との違いはどこにあるのか。近年のアンソロジーの特徴はどうか。等々、感じたことをお伝えしたいです。

改めて考えてみると、万葉集、古今集、百人一首など、短歌の歴史はそのままアンソロジーの歴史でもあります。歌人たちは互いに歌を選び、選ばれ続けてきました。今も毎日のように新聞歌壇や短歌コンテストの応募作品を読んでいます。歴史の中で長く生き残る歌には特別な生命力があるように思います。

熟にき田津たつに船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな 額田王

白鳥しらとりは哀かなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ 若山牧水

君かへす朝の舗しき石いしさくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ 北原白秋

ちなみに50首を選ぶにあたって、三人の選者の意見が最初から一致したのは、この三首だけでした。魅力の秘密はどこにあるのか。その辺りも考えてみたいと思います。(講演者からのメッセージ)

講演者:穂村 弘 氏(歌人)
日時:9月9日(土) 午後2時~4時 (受付1時半より)
会場:世田谷文学館 1階 文学サロン
参加費:会員500円 会員以外1000円
申込締切日:8月21日(月)必着
定員:150名 (応募者多数の場合は抽選)


友の会講演

伊藤 氏貴 氏 『樋口一葉赤貧日記』

樋口一葉が僅か二十四年の生涯を貧苦の内に閉じ、そしてその作品の多くがいわゆる「奇跡の十四か月」という晩年の一時期に集中して書かれたということは有名でしょう。しかし、たんに「貧乏の中で夭逝した天才」というだけで一葉を語ることはできません。

たとえば、一葉はもともと貧乏だったわけではありません。むしろ一葉が子どもの頃の樋口家は、現在の東大の赤門の真向かいに二百坪の屋敷を構えるほど裕福でした。

またたしかに、短期間に次々と名作を発表したとはいえ、筆を執ってすぐにデビューできたわけではありません。むしろはじめのうちは書いても書いてもボツにされ、苦汁を舐めました。決してモーツァルトのような「天才」ではありませんでした。

それでも、つまり貧乏にも自分の才能のなさにもめげず、一葉は日本初の職業女性作家として紙幣の顔にまでなりました。

これは不思議なことです。時代を明治以降に限っても、一葉は日本初の女性作家だったわけではありません。それ以前に原稿料を稼いだ女性作家たちは何人もいました。一葉はそうした先達を見て、自分も作家になろうと志したのです。ですが、一葉の周りの女性作家たちは、今では誰一人ほとんど知られていません。

なぜ一葉だけが作品と名前を後の世にまで残せたのか。

そのことと、一葉が並み居る女性作家たちの中で最も貧乏だったということは無関係ではありません。一葉の独自性を、貧乏というキーワードから読み解いてみたいと思います。(講演者からのメッセージ)

講演者:伊藤 氏貴 氏(明治大学教授)
日時:6月25日(日) 午後2時~4時 (受付1時半より)
会場:世田谷文学館 2階 講義室
参加費:会員1000円 会員以外1500円
申込締切日:6月19日(月)必着
定員:40名(応募者多数の場合は抽選)


俳句鑑賞会

日時:2023年6月27日(火)、7月25日(火)、8月22日(火)
午前10時半~正午
会場:文学館2階講義室
参加費:200円
※秀句一句とご自作があれば一句お持ちください。


※イベント詳細は、「おしらせ」165号をご確認ください。

「おしらせ」165号は、下記ボタンをクリックすると、閲覧またはダウンロードできます。

「おしらせ」144号PDFファイル

イベントお申し込みページへ