友の会イベント

「おしらせ」162号(2022年12月13日発行)掲載の世田谷文学館友の会の重要事項などをお知らせします。

■世田谷文学館友の会の講演

森まゆみ氏講演
林聖子 ―― 新宿のバー「風紋」の女主人

「風紋」に連れて行ってもらったのは大逆事件の刑死者の慰霊祭の後だった。女主人聖子さん(1928-2022)の父、林倭衛(しずえ)画伯は大杉栄の親友で、聖子さんは子供の頃からたくさんのアナキストと出会ってきた。複雑な家庭、父の死、17歳で終戦を迎え、母を失い、一人で生きてきた。恋をし、芝居に目覚め、しかし暮らしのために銀座のバーに勤め、33歳で新宿に自分のバー「風紋(ふうもん)」を開いた。

聖子さんと太宰治は戦前から縁があった。

「(敗戦の翌年、太宰が家にやってきて)懐からひどく真面目な顔で『中央公論』新年号を出して『これは僕のクリスマスプレゼント』と言って、雑誌をくださいました。そこに載っていた『メリイクリスマス』では私が主人公の少女のモデルで、母親が広島の空襲で亡くなった孤児ということになっています。三鷹の本屋での(太宰との)再会の様子が、より洗練された形で描かれていて、私はこれを読むと、ずっと昔の自分に出会うことができます」と聖子さんは語っている。

「風紋」は酒場であったが、古田晁(筑摩書房社主)、檀一雄、井伏鱒二、竹内好、木山捷平、吉村昭、野坂昭如、浦山桐郎、加賀乙彦、粕谷一希、高田宏などが常時訪れ、文化運動、思想運動の結節点でもあった。

父譲りの自由な精神で、誰にでも開かれた「止まり木」を60年、提供し続けた聖子さんの人生、聞き書きで記録した思いを語る。(講演者からのメッセージ)

講演者:森まゆみ 氏(作家・エッセイスト)
日時:2023年2月12日(日) 午後2時~4時 (受付1時半より)
会場:世田谷文学館2階講義室 ※ご参加者はマスク着用をお願いします。
参加費:会員800円 会員以外1,000円
申込締切日:2023年1月30日(月)必着(応募者多数の場合は抽選)


新春散歩

東京都立多磨霊園文人掃苔巡り
~日本初の公園墓地、開設100年、都立8霊園のなかで最も広い霊園~

府中市にある多磨霊園は、大正12年(1923)、武蔵野の草深い原野30万坪(のち10万坪を買い足した)を当時の東京市が買収し、日本で初めて公園的風景を取り入れて造成した大規模な墓地である。それ以来、公園墓地は全国に作られていった。近年、著名人の墓を参り、その人物に思いをはせる掃苔がひそかなブームになっている。霊園には、此岸彼岸をつなぐ独特の雰囲気がある。多磨霊園が生まれて100年となる新たな年の初めに、霊園に眠る尊敬する故人と対話をし、一年の計を立てるのもよいかもしれない。

多磨霊園でその足跡に触れる文人は、大岡昇平、有島武郎、辻邦生、北原白秋、与謝野鉄幹・晶子、三島由紀夫、岡本かの子・一平・太郎、中島敦、岸田國士、吉川英治、石坂洋次郎、菊池寛、田山花袋、巌谷小波、堀辰雄、向田邦子、江戸川乱歩、横光利一、徳富蘇峰といった、一時代を築いたそうそうたる面々である。最後に巡る直木三十五の追悼碑も興味深い。

み墓べの今朝の静けさひとりゐるわれの心は定まりにけり
古泉千樫『古泉千樫歌集』

日時:
・2023年1月29日(日)
・2023年2月1日(水)(※1月27日から変更になりました)
(両日とも同じコース、小雨天決行)
集合:12時40分集合、京王線「多磨霊園駅」改札口(改札口は一箇所、会旗あり)
案内人:原敏彦 氏(文化遺跡探査者)
参加費:1,100円(ガイド料、保険代含む。*行程中のバス代は各自別途負担。)
申込締切:2023年1月16日(月)必着、第一希望日第二希望日を必ず明記ください
募集人数:各日15名程(応募多数の場合は抽選)※ご参加者はマスク着用をお願いします。


俳句鑑賞会

〈ご寄稿要項

日時:2023年1月24日(火)、2月14日(火)
午前10時30分~正午
場所:文学館2階講義室
参加費:200円
※秀句一句とご自作があれば一句お持ちください。


※詳細は、「おしらせ」162号をご確認ください。

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